ドローン(マルチコプター)を安全に飛ばすには様々な知識が必要です。
飛行原理や電波の特性の習得、飛行前点検、保険への加入等知っておくべきことが沢山あります。
そして、事故を起こさない、被害をできるだけ大きくしない為に、過去の様々な事故事例から学ぶことはとても重要です。
エアロユースでは、常に最新の事故事例を収集し、その原因調査と対策検討を続けており、弊社の安全教育サービスでその知識を提供しております。
今後このホームページにおいてもその一部を公開していきたいと思います。

バッテリーアラーム

ドローンの墜落事故において、バッテリー切れによる墜落はかなりの割合をしめると思います。各モーターを制御するパワーを喪失することにより、機体は容易に体制を崩し墜落します。
バッテリー持続時間は、搭載するバッテリーの種類や容量により全く異なりますし、カメラやその他の機材で機体が重くなると、その分バッテリー持続時間は短くなります。
そして、忘れてならないのが、プロポ(送信機)側のバッテリーです。
幾ら機体側のバッテリーに余裕があっても、操縦することができなければいつかは墜落します。

昨今のドローンの多くは、何らかの形で機体側のバッテリー警告は行われますので、ある程度操縦者は機体側のバッテリー残量には気を使っていると思われます。(機体側の警告方法で多いのは機体LEDの点滅等による警告でしょうか。)
但し、送信機側のバッテリー警告は全ての機種で行われるわけでなありませんので注意が必要です。また、機能を有していても設定が必要な場合がありますので、確認しましょう。

Futabaプロポは下記URLにてマニュアルが公開されています。
双葉電子工業 ホビーサイト 取扱説明書・ダウンロード https://rc.futaba.co.jp/dl_manual/index.html
10Jは68ページ、14SGであれば92ページが該当します。

自動帰還機能

ゴーホーム(Go-Home )やRTL(Return to Launch)等と呼ばれ、DJIのPhantomシリーズの普及により、一般的に知られる様になってきました。
スイッチ操作もしくは後述するフェイルセーフ機能により、ドローンが離陸した地点に機体を自動で戻す機能です。機体を簡単に戻すことができる為、非常に便利で有用な機能なのですが、これを信頼し過ぎるのは如何なものかと思います。
中には機体が見えなくなるところまで飛行させて、安易にこの機能を使って引き戻すといったことをしている方もいるようですが、これは大変危険な行為ですし、今後改正されるであろう航空法では、目視外の飛行は禁止される見込です。

ゴーホームは、GPSにより実現される機能ですので、機体のフライトコントローラーやGPSアンテナに異常があってもいけませんし、障害物や電波干渉によりGPS電波を正常にキャッチできないことも有ります。
また、良くあるのが、正常に現在位置を認識できないまま機体を離陸させたことによる暴走です。これを防ぐには、機体の電源を入れてすぐ離陸させるのではなく、機体が現在位置を正常に認識した後に離陸する必要があります。
現在位置の認識作業が完了したかどうかを判断する方法はフライトコントローラーによって違いますのでここでは割愛しますが、多くはLEDの点灯や点滅によって知ることができます。
加えて、機体のコンパスキャリブレーションも可能な限り現地で行うことを推奨します。

もう1点良くあるのが、ゴーホーム時の軌道を理解していないことによる事故です。機種やフライトコントローラーによって違いますが、例えば、弊社が使用している機体では、ゴーホームが発動すると、まず、高度50mに上昇した後、一直線に離陸地点の上空に戻ります。その後、高度5mまで下降しホバリング状態となります。
ここで注意しないといけないのは、戻ってくる軌道上に障害物があれば、ドローンはそれを認識する術はありませんので追突します。最初に高度を上げるのは障害物がないであろうという高度を飛行する為なのですが、全ての環境で同じ高度が安全とは言えません。設定によってゴーホーム時の軌道を細かく制御できるものもありますが、どちらにせよゴーホーム時にどういった制御が行われるか認識しておくことが大事です。

実際にゴーホーム中に機体を墜落させたという情報がインターネット上にはたくさんありますので、ゴーホーム機能を過信しすぎるのはやめましょう。ゴーホームは最終手段であって、可能な限り操縦者自身の手で着陸させることが推奨されます。もちろん、上記可能性を理解した上で、便利な機能として使う分には何も問題ありません。

フェイルセーフ

誤操作を起こさないように、もしくは、誤操作をした場合でも事故が起こらないようにする機能です。
次のような場合に、自動帰還機能を発動したり、上空待機を行い事故を防ぎます。
・機体バッテリー残量低下時
・機体および送信機の通信ロスト時
・GPS異常(未受信等)時
・指定区域外への飛び出し時
・その他センサー異常時

指定区域外への飛び出し時のフェイルセーフ機能について知っておくことはとても重要です。機能としては自動帰還同様過信して良いものではありませんが、自身の操縦技能と機体性能を把握し限界を見極めて、それ以上の空域にドローンを飛ばさないということを意識することはとても大事だと思います。

※別ページにて、指定区域外への飛び出し防止対策とし、仮想フェンス(ジオフェンス)の設定方法を紹介したいと思います。